From 食べ物ログ |
思えばかつては中華料理を食べに横浜中華街まで行ったものだ。しかし、わざわざ遠くまで行く価値があると感じられる店をなかなか見つけられないせいもあって、足を向ける機会は減った。そうこうしているうちに、池袋にネイティブ色のする中国料理店がたくさんできて、ますます遠出する動機がなくなってしまった。
最近になって、横浜中華街が様変わりしつつあるという話が耳に入ってくるようになった。なんでも、昔からやっている店がつぶれ、新しい低価格帯の店が入るというサイクルが始まったとのこと。これは私にとってはむしろ嬉しいニュースなのかもしれない。釘を刺しておきたいのだが、横浜中華街でそのコストに見合うおいしい料理店を探すのは大変難しかった。結局、あそこは「日本人向けの観光地」以外のなにものでもないわけだ。
今回たまたま横浜に用があったので中華街に足をのばしたものの、時間的制約のせいであまり探索できず、結局以前からのお気に入りだったこの「福満園 別館」に入ることにした。ちなみに、昔よく行っていた裏通りにあった小さい店はつぶれていたが、あれは高級店ではないので最近のトレンドとは関係ないか。もう1つ好きだったお店は、低価格の食べ放題やら点心やらに路線変更していた。これはあまり嬉しくない変化だった。
この「福満園 別館」は、宣伝によると横浜中華街で唯一の湖南料理を出すお店である ( 公式サイト )。もともと四川料理をベースにしているお店が、他の系統を出す「新館」やら「別館」やらを出店してきている。思い返すと、いまとなっては考えられないことだが、昔は横浜中華街にもまともな四川料理を出す店がほとんどなく、ほかには「重慶飯店」ぐらいしかめぼしい選択肢がなかった。「重慶飯店」は明らかに私の指向性とは異なる、「日本的に洗練された四川料理」を出す店なので、この「福満園」は重宝していた。
湖南料理店は、このブログでは他に「華湘」と「湖南菜館」を取り上げている。前者は池袋の東武百貨店の上の方にある「デパートのレストラン」。後者は新宿歌舞伎町にあるオーセンティックな新興料理店。ここ「福満園 別館」はオーセンティックな部類に属するが、メニューには四川料理がやはり多いし、コース料理も必ずしも湖南料理を軸にしていないものが目に付いた、ように思う。
今回は湖南プロパーの料理をいくつか注文して大満足した。この店ではランチ・メニューとかコースとかは頼まずに、分からなければ店員に尋ねて湖南料理を食べるといい。こんなところまで行って麻婆豆腐とか頼まないように。四川料理が「麻辣」なのに対し湖南料理は「酸辣」、つまり酸っぱい辛さに特徴があり、基本的に花椒から来る赤さはそんなにない。
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